日本におけるスマートグリッドの経済波及効果
主に携帯通信市場などの調査を手がけている株式会社ROA Groupの情報ライブラリの中にスマートグリッドに関するレポートがありました。
・日本におけるスマートグリッドの経済波及効果/無料アナリストコラム :ROA Group
http://japan.researchonasia.com/column/colum_name.html?num=1913
PDFでダウンロードすると、表紙や目次も入れて9ページのレポートですが、スマートグリッドの概要も理解できる、わかりやすいレポートです。
読んでいて面白いと思った点をいくつか。
スマートグリッドの成長要因
PDFの4ページで「スマートグリッドの成長要因」として、地球温暖化対策とプラグインハイブリッドの普及の2点が挙げられていました。後者については「プラグイン型ハイブリッドカーが普及すると電力需要が大きく増加することが予想され、電力網に莫大な負荷がかかる」とのことです。
最初はいまいちピンとこなかったのですが、その後の説明にはこのような記述がありました。
米オークリッジ国立研究所によると、米国でプラグインハイブリッドカーに対応するためには、電力需要ピーク時間帯である午後5 時の利用を仮定した場合に160基の発電所を新たに建設する必要がある一方、午後10 時以降での充電であれば新たに建設する発電所の数は0~8 基に大幅縮小することができると推定されている。充電時間を自動的に延期できるスマートグリッドの運用技術であれば、電力の過剰な負荷を解決できるのである。
効率の良い電力の使い方を通して、設備投資を抑えるという発想ですね。
スマートグリッドの構築に必要な技術
このレポートでは、スマートグリッドに必要な技術として、次のような図を使って解説をしていました。この図は頭の整理になりますね。
このレポートの後半、スマートグリッドビジネスのIT産業への応用可能性なども見ながら、最終的に産業連関表を用いて、日本における経済波及効果を推定しています。
結果として、電力・ガス・水道産業への波及効果が最も大きいという結果になったようです。
国内におけるスマートグリッドの展開については、まだまだ色々な議論がありますが(例えば「サイエンスポータル 科学のQ&A 日本にはスマートグリッドは不要か?」というのも見つけました)、そのような中で、具体的な経済波及効果まで算出しているという点で、興味深いレポートだと思います。